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きっかけ
プリント設備があるんだから、個人向けのオリジナルTシャツ事業は簡単に参入できる。
僕も社長もそう思っていた。
でもやってみて分かったのは、あれは工場の仕事ではなく完全にマーケティングの世界だったということだ。
toCには2つの型がある
個人向けに商品を売るには、大きく2つの方法がある。
- コンシェルジュ的な相談窓口を持つ方式
- 完全にwebで完結させる方式
相談窓口型は始めやすいけどスケールできない。
完全web型はスケールできるけど、別の戦いが待っていた。
当時の自分たちは「両方やろう」としたが、それが最大の失敗だった。
相談窓口型:手間ばかりで割に合わない
1枚作ろうが100枚作ろうが、接客対応の時間は同じ。
価格は他社と比較されるから、相談窓口を設けている分の人件費を価格に上乗せできない。
しかも、意味の分からない相談を持ち込んでくる人も多い。
結果、個人店以上にスケールするイメージは持てなかった。
完全web型:工場ではなくEC企業の戦い
スケールするのは完全web完結型。
でもこれは工場の延長ではなく、完全にEC企業の戦いだった。
- 価格競争は避けられない
- UI/UXが洗練されたECサイトが必要
- ユーザーが自分でデザインできるアプリも必須
- 同じようなサービスが乱立していて、広告費も必要
プリント設備があるだけでは、まったく戦えなかった。
ホームページに150万円
個人向け事業のために専用ホームページも作った。
今なら「窓口程度のページを自分で作って、問い合わせを営業につなぐ」で済ませただろう。
でも当時は「Webで完結させないと」と思い込み、相談窓口型とWeb完結型を両立させようとした。
知り合いに外注した結果、機能を足していくうちに制作費は150万円。
今から考えると高すぎた。
しかも2年ほどでサーバーの都合なのかページが表示されなくなり、逆にもうええわと思った。
学び
- 個人向けオリジナルTシャツは、工場の強みを活かせる土俵ではなかった
- toCは「相談窓口型」でも「完全web型」でも、工場が片手間でやれる世界ではない
- 結局、この領域に力を入れるなら、その分本業のOEMに注力した方が売上は上がる
結論
なんでもできると思ったら大間違い。
工場には工場の、メーカーにはメーカーの土俵がある。